「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」。
多様な働き方を叶え、人と情報が活発に交流する新本社を目指して|ほぼ100のこばなし

松尾大作(HD副社長兼NRE社長)、山田譲二(NRE常務役員)

2026.03.31

「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」。
多様な働き方を叶え、
人と情報が活発に交流する
新本社を目指して

INTRODUCTION

野村不動産グループは、2030年ビジョンである「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」の実現に向け、グループ会社相互の連携強化と、よりイノベーティブな企業集団への成長を図り、ワーカーのエンゲージメント向上とウェルビーイングな働き方を叶えるため、2025年8月、BLUE FRONT SHIBAURAへ本社を移転しました。

この新本社移転プロジェクトを経営の立場から率いた、HD副社長兼NRE社長の松尾大作さんとNRE常務役員の山田譲二さんの、本社移転や新本社にまつわるメッセージを改めてまとめました。

「CROSS-BORDER For Tomorrow」を意識した、より良い働き方ができる環境に

松尾大作|Daisaku Matsuo
野村不動産ホールディングス株式会社代表取締役副社長兼副社長執行役員
グループCOO(2026年3月16日現在)

当社グループは6つの事業分野で構成されており、多くのグループ会社、及び多様なセクションや部署が存在する中で、「不動産を介して人々の暮らしを良くする」というテーマのもと、幅広い選択肢から価値を提供してきました。これは、社会のニーズを先んじて読み取り、社会課題の解決を常に意識してきた結果だと考えています。

私たちが大切にしているのは、お客様が何を必要としているのかを「人起点」で考える姿勢です。この考え方は社員の皆さんにも広く浸透していると感じています。街づくりや建物づくりはあくまで手段であり、真に重要なのは、そこに住む人・訪れる人・働く人の課題を解決し、価値を提供することです。人々の困りごとや求めていることに向き合い、課題解決に挑む姿勢とこだわり。この2つを軸に、私たちは多彩なブランドを展開してきました。

グループ、そして役職員のさらなるパフォーマンス向上を目指し、2025年8月には新本社をBLUE FRONT SHIBAURAへ移転しました。新本社は、浜松町ビルディング(旧東芝ビルディング)の建替え事業として進めているツインタワー計画の1棟目として2025年2月に竣工したTOWER S内の5フロアとなります。新本社は1フロア約1,500坪と、以前の新宿野村ビルの約4倍の広さとなり、これまでフロアが分かれていたことで生じていた物理的な壁が取り払われ、1フロアに多様な部署やグループ会社が集う環境が整いました。

新本社の空間づくりでは、「多種多様なワークスペース」と「デジタル活用」の2軸を掲げ、エンゲージメント向上、イノベーション創発、健康経営を目指しました。ストレスフリーで活躍できる環境を整えることで、社員一人ひとりが自分らしい働き方を実現できる“出社したくなるオフィス”を目指しています。

もちろん、パフォーマンスの向上は移転だけで実現するものではありません。私たち自身の意識変革が不可欠です。まずは「個人・チーム・グループの連携を通じて、どうすればパフォーマンスを最大化できるか」を自分ごととして捉え、行動すること。そして、お客様起点の価値創造をさらに進化・変革させていくこと。役職員一人ひとりがこの姿勢を持つことが重要です。

こうした考えのもと、これからの働き方のコンセプトとして掲げたのが「CROSS-BORDER For Tomorrow」です。会社や組織の壁を越え、未来に向けてグループ連携を進めていくという強い決意を込めています。新本社という新たな環境で、社員の皆さんがこのコンセプトを意識し、より良いパフォーマンスを発揮していただければと思います。

私はグループCOOとして、仕事に向き合う「熱量」と「ウェットさ」を大切にしています。これは野村不動産グループの文化を形づくる価値観であり、共通の目標に向かって進むための原動力です。この姿勢があるからこそ、お客様との深い信頼関係を築き、社会の潜在的なニーズを起点とした商品やサービスを生み出すことができると考えています。

2026年は中長期経営計画のフェーズⅡが始動する重要なタイミングです。気持ちを新たに、経営計画の実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。

「行きたくなるオフィス」の最適解。グループ連携による、人・情報の交流を実現させる

山田譲二|Joji Yamada
野村不動産株式会社常務執行役員
芝浦プロジェクト本部長兼グループオフィス戦略室担当(2026年3月16日現在)

新本社移転が決定したのは、コロナ禍の2022年3月の役員会議でした。新宿野村ビルにいた当時は、事業領域が拡大する一方で、グループ企業が25フロアに分散。さらに近隣のビルにもオフィスが点在していました。このような状況は、グループ内でのコミュニケーションを考えると決して良い環境とは言えません。当社が変わるべき姿として2030年ビジョンに掲げた「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」を実現するためにも、社内の連携をより密にし、「人と情報が交わる場所」を設計する必要がありました。こうして、グループ8社の本社機能をBLUE FRONT SHIBAURAに移転することが決定したのです。

移転に先立ち、浜松町ビルディングを活用したトライアルオフィスを設置しました。レイアウトや家具が異なる複数の空間をつくり、社員に数カ月単位で勤務してもらいながら、働きやすさ、コミュニケーションのしやすさ、家具の使い勝手など、多岐にわたる項目についてフィードバックを収集しました。

この検証で明確になったのは、「見た目の良さ」と「働きやすさ」は必ずしも一致しないということです。デザイン性に優れた、おしゃれな空間や什器であっても、会話が生まれにくかったり、長時間座ると疲れたりすることがあります。壁紙の色についても、明るすぎると「落ち着かない」、暗すぎると「閉塞感がある」といった声が寄せられるなど、非常に多くの示唆が得られました。

こうした反応を随所に反映し、東京湾を望む環境の中でウェルビーイングにも配慮しつつ、多様な働き方を実現できるオフィスづくりに注力しました。1フロア約1,500坪という広さをどう活用するかを検討した結果、部署やグループ会社を隔てる壁は基本的に設けないという決断に至りました。自然に人が集まり、会話が生まれる設計こそが最も機能すると考えたからです。外周をホームエリアとして会社・部署を緩やかに配置し、内側はシェアエリアとして、打ち合わせ、プレゼン、集中業務など多様な用途に対応できるスペースを設けました。

また、オフィスや働き方は常に変化していくものです。そのため、組織変更やレイアウト変更にも柔軟に対応できる「可変性のあるオフィス」をコンセプトの1つに掲げました。設計会社や家具メーカーと協働し、パーツを組み合わせて多様な機能・形に変化するUZU家具を開発。これを用いてホームエリアとシェアエリアをゆるやかに区分し、互いの様子が自然と見えるように工夫をしました。

さらに、複数の内階段を設置することで、フロア間の移動を容易にし、コミュニケーションがスムーズに生まれるよう配慮しました。カフェスペースも設け、部署を越えた雑談や打ち合わせを促すなど、「偶発的な出会い」を生む仕掛けも随所に取り入れています。

また、従来の役員個室も廃止し、役員コミュニティラウンジを新設しました。組織内で起こっていることがタイムリーに共有され、迅速な判断につながる仕組みです。部門間の壁もないため、隣の部署の動きが自然に伝わり、役員間の情報交換やコミュニケーションの活性化も期待しています。

この「偶発的な出会いによるコミュニケーション活性化」という考え方は、自社本社だけでなく、BLUE FRONT SHIBAURA全体の開発にも生かされています。TOWER Sでは、オフィスエリアにあたる28階全体を入居企業が共有できるフロアとして設計し、執務スペースやテラスに加えてジムやサウナも整備。人が自然に集まり、交流が生まれる環境をつくり上げています。

新本社への移転後、異なる部署間の交流が頻繁に見られるようになりました。ホームエリアも厳密な境界を設けていないため、部署の異なる社員同士が混じって座る姿もあります。無料のカフェスペースには自然と人が集まり、こうした光景は従前のオフィスでは見られなかったものです。

今、ワーカーが求めているのは「行かなければならないオフィス」ではなく、「行きたくなるオフィス」です。現段階で、新本社はその理想に対するベストな形だと自信を持って言えます。しかし、「行きたくなるオフィス」であり続けるためには、常にブラッシュアップが必要です。これからも改善を続けると共に、ここで得られた知見をさまざまな事業に生かしていきたいと考えています。

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