横田泰典(グループオフィス戦略室/現野村不動産ソリューションズ株式会社)×土谷郁美(総務部)×竹岡真彦(UDS株式会社)
2026.03.31
《メニュー開発|UDS》
新しい食体験の場が、
これまでにない発想と
密なコミュニケーションを生む
INTRODUCTION
ARUMON CAFEで提供されるメニュー開発と、手土産として使われるオリジナルスイーツの開発。新本社での食開発のプロジェクトには、社員からの多数の声や、各グループ会社の秘書の皆さんの協力が反映されました。ランチをおいしく食べられる、仕事の合間においしいコーヒーで気分転換ができる。そんな空間において目指したのは、ただ飲食が楽しめるだけの場ではありません。
カフェは、リラックスの場であると同時に、CROSS-BORDER For Tomorrowを体現する場でもあります。コミュニケーションを生み出す空間としての「食」のあり方について、UDS株式会社の竹岡真彦さん、野村不動産 グループオフィス戦略室推進課(2025年12月時点。現在は野村不動産ソリューションズ総務部)の横田泰典さん、野村不動産総務部の土谷郁美さんが語りました。
忙しいワーカーのためのメニュー開発
――新本社の「食」について、どのようなことをされたのでしょうか?
横田泰典さん(以下、横田):ARUMON CAFE、オリジナルスイーツ(手土産)の開発です。さらに、提供されるメニューを社員に発信することがメインの役割でした。周知することが目的ではあるものの、社員にとって興味を持っていただけるものにしたいという目標もあり、発信だけではなく社員にアンケートを取ることも実施していました。
土谷郁美さん(以下、土谷):私も社内SNSを使い、社員の皆さんに対してスイーツ開発・カフェメニュー検討の取り組みを発信することがメインの役割でした。
竹岡真彦さん(以下、竹岡):14階、15階のドリンクカウンター、ARUMON CAFEの運用企画、運営ディレクションを担当しました。当社は新宿野村ビルの社内カフェの企画と運用サポートをしており、2023年末から野村不動産グループにもジョインしています。新本社移転の2年半くらい前からお話があり、一緒にメニュー開発をしてきました。
UDS株式会社事業企画部食環境企画ディレクター
2018年UDS株式会社入社。食環境を通じたまちづくり企画として、料飲を環境のHUBとして施設の魅力化、エリアとの接点を産み商業施設・ホテル・ワーク環境、地方創生などで場の構築をおこなう。今回のBLUE FRONT SHIBAURA TOWER SではARUMON CAFEの運用企画を担当。
――どのような目的でメニューを開発されたのでしょうか。
竹岡:カフェをサードプレイス化して、社員間コミュニケーションを活性化させたい、というお話を最初にいただきました。多様な使い方ができるように、ドリンクだけでなく食事もできる場所にしようということで、まずはワークスタイルに合わせた食事のあり方の提案をしようと思いました。社員の皆さんの働き方を考えると、必ずしもお昼のピークタイムだけに休憩を取るわけではありません。ゆっくり過ごされる方もいる一方で、忙しいワーカーがクイックに食べられるメニューも必要です。オールデイで使っていただけること、さまざまな時間の過ごし方ができること、いつでも健康的な食を提供できる方式として、デリカテッセンの販売スタイルを採用しました。
横田:お昼を食べ逃す社員もいるので、クイックにエネルギーチャージできる点は魅力的です。WELL認証も鑑みて、社員の健康サポートに寄与できるデリカテッセン方式はぴったりでした。
野村不動産ソリューションズ総務部総務課(移転時:野村不動産 グループオフィス戦略室推進課所属)
2017年に当時野村不動産アーバンネット社に入社し、埼玉エリアにて主に個人顧客向けの不動産仲介を経験、2022年に野村不動産ホールディングス兼不動産に出向し、グループオフィス戦略室に所属時にグループ会社利用のトライアルオフィスを運営、移転計画、移転と経験してきた。現在では野村不動産ソリューションズに戻り、総務部として自社の本社運営と営業社員のサポートに関わっている。
――メニューはどのようにして決めていきましたか?
横田:社員の声も反映したくて社内SNSでアンケートを募集したところ、800件ほどの回答が届きました。ごはんものを食べたいけど早く食べられるようにおにぎりがいいとか、スイーツにもたくさんの意見をいただきました。
またトライアルオフィスでも、食を通じたコミュニケーション施策をいくつか実施しました。お弁当と焼き菓子がいちばん人気で、サラダはそうでもなくて。すぐに食べられてお腹にたまるものがいいんだな、と社員の好みを知ることができました。
竹岡:食べたいニーズと健康促進の両方を満たせるように、プラスワンで買えるような手にとりやすいお惣菜を考えました。仕事が終わってからもお惣菜を買って帰ることができれば、フードロスも減ります。ニーズとやりたいことが合致して、デリカテッセンスタイルになりました。
メニューに込めたさまざまな工夫
――現在のARUMON CAFEの営業形態を教えてください。
竹岡:8:00から18:00までが営業時間で、モーニング、ランチ、カフェタイムという構成です。
モーニングタイムで提供しているのは、グリーグヨーグルトや一汁一菜の和定食、スープなど、手軽に食べられる朝食メニュー。ランチタイムは11:00からで、肉か魚のどちらかをメインで定食にして、その日のデリを盛り放題にしています。カフェタイムはライトミールとドリンク。サラダやサンドイッチ、バナナなど、どの時間帯でも食べられるようになっています。18:00以降は、予約制でイベントや懇親会などをケータリングで受けています。大きなスクリーンに映像を投影できるので、パブリックビューイングなどにも使っていただけますね。
横田:その日の気分に合わせて好きなものを選択できるランチプレートの他に、麺類などもあります。固定メニューも季節よって内容や食材が変わるため、飽きることはありません。
竹岡:ランチメニューが想像以上に好評で、1日180食の想定だったのが、300食以上が出ます。お惣菜は10種類くらいを用意しており、三軒茶屋のマルサラ飲食店のシェフに監修してもらってレシピ開発をしています。その日のうちに売り切ってしまうことが多く、おかげでフードロスが出ません。
――メニュー開発で工夫したポイントを教えてください。
横田:社員のコミュニケーション活性化、クイックにエネルギーチャージできる、外に食べに行くより安価な価格設定などをUDSさんに依頼し、食事構成は主にUDSさんにて検討していただきました。私たちはできあがったメニューの金額、量、味などを試食し、意見させていただきました。
竹岡:企画の段階で定義を決めて、それに沿って開発していきました。
・余った食材の有効活用、生ゴミを出さない。
・郷土性を出す、旬のものや地域のものを取り入れる。
・いろいろな食材を試す。
・忙しいワーカーも栄養をしっかり摂ることができる。
・食卓を囲むようなイメージの設えを作る。
・野菜や果物をたくさん摂れるメニュー。
・塩分摂取しすぎないよう、発酵食を利用して塩味を抑える。
・動物性をメインとせず、野菜の量を増やして食べ応えがあるように。
2~3日ごとにお惣菜の種類を入れ替え、飽きのこない献立を提供できるように試行錯誤しています。
また、社員の皆さんからのリクエストも反映して、カレーや麺類などもメニューにプラス。フードロス対策としては、例えば野菜の皮などはラー油に加えたりふりかけに加工したりなど、UDSで培ったノウハウを生かして対応しています。
行きたくなるカフェを目指して
――現段階で、何か課題はありますか?
横田:ARUMON CAFEのオープン当初は、実際にできあがった空間や商品を知っていただくための告知・集客が大変でした。ARUMON CAFEという場所に行かない、社内SNSを見ない方もいるという中で、そもそも社内に有人カフェがあること、どんな場所なのか、どのようなものが提供されているのかを知らないという方が、移転直後は多かったです。まずは存在を知ってもらいたく、どうすれば私たちからの発信を見ていただけるのかというのがいちばんの課題であり、土谷さんと共に最も努力した部分でもあります。
竹岡:ランチが大好評な一方で、朝食を利用される方が想定よりも少なく、ワーカーのニーズを吸い上げられていないなと感じています。朝早く出勤される方はしっかり朝食を摂るものかと思っていましたが、デスクで食べたい方が多いようなので、例えばおにぎりのような携帯性があるものができないか検討しています。
カフェタイムも利用率が下がってしまうので、スイーツがいいのか罪悪感の少ないハンバーガーのようなメニューがいいのか悩んでいますが、皆さんの意見を聞きながらいろいろトライしたいと思います。
――これから、どのようなカフェにしていきたいですか?
竹岡:コミュニケーションの創出がゴールですが、食を通して出会いを創出できているかというと、まだそこまでではないという印象です。ランチがピークで前後の時間帯はあまり使われないので、食べ物の提供だけではなくてコミュニケーションを活性化させる仕掛けを考えていきたいです。
横田:コミュニケーションを取る際に、「食」が大事な役目を果たすと思っています。そのためには、カフェがただ食事をするだけの場所ではなくて、楽しめるような空間でなくては。そこに行けばハッピーになれる、そんな行きたくなるような空間づくりをしていきたいです。
「野村不動産らしさ」を感じられるスイーツ
――スイーツ開発はどのようにして進めていったのでしょうか。
土谷:当初は、スイーツ開発やカフェメニュー検討を通じて、社員の皆さんに新本社移転を自分ごとに、もっと身近に、ワクワクを感じてもらう、というテーマがありました。私自身は、役割を与えられた時は「不動産屋がスイーツ開発!?」と、形になっている姿を想像できませんでした。初めての試みである社内SNSでの告知など、どれだけ社員に見てもらえるのか、反応がまったくなかったらどうしよう、と不安な気持ちがありました。
最初に行ったのは、スイーツ開発やカフェメニュー検討をしていることを知ってもらうために、社内SNSを社員に認知してもらう施策を打ち出すことでした。スイーツや日本酒のイベントを開催してその場で社内SNSを宣伝したり、社員自身に社内SNSで発信してもらったりしました。また、イントラに社内SNSの入口や解説記事を掲載したり、ポスターやポップ作成・掲示、社用スマホに社内SNSアプリを標準搭載するようにDXと調整したりと、社員の目に留まるよう、横田さんと共にいろいろと考えて動きました。
野村不動産総務部総務一課
2014年野村不動産に中途入社し、インテリア営業部(当時)でマネージャーのサポート業務、総務・IT戦略推進部 IT企画課(当時)でPC・アカウント・モバイルデバイス等の社員サポートを経験。2022年に産育休後から総務部で本社移転を担当する中でグループオフィス戦略室と共に協働。本社移転後もビジネスサポートセンターやメールセンター等に関わっている。
――スイーツ開発においては、各グループ会社の秘書の皆さんが参加されたそうですね。
横田:社外に持っていけるオリジナル商品を作りたいというところからスイーツ開発の検討が始まり、手土産というアイデアにつながりました。役員の皆さんが、来訪の際によく手土産を持って行かれると聞き、秘書の方であればいろいろな手土産をご存知なのではということから、各グループ会社の秘書の皆さんにご協力をお願いしました。
土谷:秘書の皆さんは日頃から手土産を購入する機会が多く、手土産のニーズや有名なお菓子を把握されています。各社・各本部から選出していただき、UDSさんも交えた会議を定期的に開催しました。
――どのようなスイーツができたのでしょうか。
横田:野村不動産グループ限定アッサンブル「Nami-Nami Original Gift Pack」というスイーツで、14階ドリンクカウンター、15階ドリンクカウンターで販売しています。
竹岡:オリジナルを目指していましたが、現段階では野村不動産限定のアソートというスタイルにしました。京都の菓子屋「RAU」さんのもので、今のところとても好評です。
横田:将来的には、味自体もオリジナルで開発できればと思っています。
竹岡:利用シーンや形状、箱のサイズ感など、秘書の皆さんのおかげでリアルな需要を検討できました。パッケージには芝浦の海や空をイメージするデザインを使い、野村不動産らしさを具現化しています。作って終わりにならず、皆さんに愛されるようにさらに検討を重ねていきたいです。
――このスイーツ開発で大切にしたことは何でしょうか?
横田:1つの組織が独断で開発するのではなく、グループ会社の役職員全体で作り上げることを大切にしました。さらに、開発するスイーツのジャンルを役職員アンケートの結果で決定したこと、直接ご意見をいただくために秘書の皆さんにヒヤリングさせていただいたことなどもポイントでした。
土谷:今後は、秘書の方たちだけでなく、社員の皆さんにもスイーツに関するアンケートを取り、「社員みんなの声を元に作ったスイーツ」という部分に重きを置いていたと思います。
片岡麻衣子(野村不動産)
成瀬可奈子(野村不動産)
松永典子(野村不動産 住宅事業本部)
鈴木美雪(野村不動産 都市開発)
高橋友加江(野村不動産投資顧問)
角田依里(野村不動産パートナーズ)
吉良恵(野村不動産ソリューションズ)
芳津千晶(野村不動産コマーズ)