株式会社クニエ 片山拓さん
株式会社内田洋行 伊藤圭佑さん
株式会社イトーキ 二葉利貴さん
グループオフィス戦略室推進課 藤田平さん 林田晃典さん
2025.08.19
《デジタル設計|FORTIENCE/内田洋行/イトーキ》
煩わしさをなくすために。
ストレスのない新しい働き方へ導く
デジタル設計
INTRODUCTION
今や仕事に欠かせないツールとなった、デジタル機器。モニター、Web会議デバイスなどの身近なものはもちろん、サイネージやプロジェクター、位置情報システムなど、新本社にも多くのデジタル機器・ツールが導入されます。
それらを選定し、新本社移転と同時に社員の皆さんがすぐに使えるよう、設定などの準備を進めてきた5人をピックアップ。デジタル設計におけるテーマや、これからの働き方にどう作用するかについて、語っていただきました。
――皆さんは新本社のデジタル設計を担当されているとのことですが、どのような業務内容なのかを教えてください。
藤田平さん(以下、藤田): 新本社に入れるAVデジタル機器、それに関するICTツール全般の導入を担当しています。本社移転をするにあたって、AVデジタル機器は欠かせないものです。新宿野村ビルでももちろん使用していましたが、新本社で働くのは約3,500人。この大きな規模でどういうものを導入すればいいか、当初はまったく想像がつきませんでした。ただ単に最新機器をそろえればいいわけでもなく、総合的に考えなくてはということで、デジタル設計について豊富な知見を持った企業を探している際に、クニエさんのホームページを見つけてご連絡しました。
片山拓さん(以下、片山): 弊社の参画は2023年の7月からです。まずは野村不動産さんのICT領域の要件整理を行い、その要件に合った会社を選定していきました。この規模のプロジェクトに携われるのはそうそうないことですし、一生に一度の機会かなと思っています。現在は、弊社からお声がけをした内田洋行さん、イトーキさんの連携や管理を行っています。
クニエ マネージャー 金融系シンクタンクにて、某国での証券取引市場開設や金融システム近代化等のプロジェクトにて主にIT・ファシリティ領域を担当した後、事業企画等を経てクニエに参画。現在は主にクライアントのIT領域に関するコンサルティング業務に従事。
藤田: 規模が大きすぎて何から始めればいいかと不安に思っていましたが、片山さんからは最初の段階で考えていくべきポイントを洗い出していただき、パートナーとして一緒にやっていきたいなと感じました。
片山: 弊社には、当初より共に参画している宮澤聡シニアマネージャーをはじめ、建築とICTの双方の知識を持っている人材がいますし、比較的規模の大きい企業様のデジタル設計の実績もあるので、そうした知見が生かせるなと考えました。
伊藤圭佑さん(以下、伊藤): 私たちがジョインしたのは2023年の12月からです。主な担当領域は、各会議室にあるモニター設備や会議室の予約サポートシステム、社員の位置情報検索システムなど。ハード面とソフト面の両方からサポートしています。すでに新宿野村ビルで使われている会議予約のシステムは弊社のものなので、新本社ではその後発となる新しいシステムを入れることができ、以前からのお付き合いを生かすことができてよかったです。
パワープレイス エンジニアリングセンター 東京エンジニアリング部 プロジェクトマネージャー 2017年入社。内田洋行 オフィスエンジニアリング事業部 法人第一営業部に5年在籍した後に現所属へ出向。営業部門在籍時に什器に限らず、内装やAV/ICTなどオフィス構築に関わる多岐に渡る経験を積む。それらを活かして現在は移転や改修、新拠点開設に伴うプロジェクトマネージャーとしてPM業務に従事。
藤田: 会議の予約システムや位置情報については、浜松町のトライアルオフィスで同様のシステムを入れていました。社員からさまざまな意見や課題が出てきたので、その声を反映しつつカスタマイズしてもらい、結果的にいいシステムができあがったと思っています。
二葉利貴さん(以下、二葉): 弊社もクニエさんから声をかけていただいて、2023年12月に加わりました。担当したのは、役員会議室とセミナールーム、多目的ホールと言われるコミュニティゾーンの設備です。また、フロア全体になりますが、BGMのシステムを入れています。私たちが携わっている場所は、社員の皆さんがコミュニケーションを取るうえでICTをどう活用していくかの提案力が試されるエリア。設計者冥利に尽きる場所ですし、大切な場所のデジタル設計を担えたことに感謝しています。
イトーキ 営業本部ソリューション営業部1-2チーム チームリーダー 1998年、株式会社イトーキに入社。以来AV/ICTシステムの営業推進、システム設計・現場監理に従事する。2018~2022年はオフィス移転・改修・新拠点立ち上げのプロジェクトの全体マネジメントを請負う専門部隊に在籍。その後AV/ICT/セキュリティ専門部隊であるソリューション営業部に復帰。AV/ICTシステムの設計・販売、プロジェクトマネジメント業務推進を担当する。
林田晃典さん(以下、林田): イトーキさんは、役員会議室など大きめの会議室を担当してくださっています。新本社ではどういったスペースになるのか想像がつかないところもありましたが、イトーキさんの本社の役員会議室でさまざまな機器に触れる機会をいただいたおかげでイメージしやすくなり、スムーズに頼むことができました。
随所に光る、デジタル設計の工夫ポイント
――新本社の各所や各ポイントについて、どのような機器を使い、どんなことが実現できるのか、詳細を教えてください。
■リアルサイズプレゼンター
伊藤: リアルサイズプレゼンターは弊社オリジナルのシステムで、等身大&実寸を確認できます。野村不動産さんの開発における風景を実寸台にしたらおもしろいのではないかという発想から提案しました。野村不動産さんとしては初の導入になると思いますので、いろいろなことをトライして使いこなしていただければと思います。
■スタジオ
林田: 会議や打ち合わせ、全社員向けの説明会など、オンライン配信の機会も多くなってきたので、配信用のスタジオを作りました。背景に画像を投影できるグリーンカーテンを設置し、ソファーは2~3人で座談会スタイルにできるようL字型に。スイッチの切り替えで簡単に配信ができるようにしたいと考えています。現状は各自でTeamsを用いてパソコンのカメラに語りかけるようになっていますが、より専門性を持った発信を社内外に向けて実施できるように考えました。
■サイネージ
林田: サイネージは縦型、横型共に各所に配置しています。新宿野村ビルではフロアごとに組織が別れていて、自分たちの組織の情報を紙ポスターで知らせていました。これからはグループ本社になるので、サイネージに投影することで各本部が何をやっているかを啓蒙し、すぐに情報を取りに行けるようにと考えています。
■ボードルーム、セミナールーム、会議室
伊藤: 広さや収容人数が違うさまざまな部屋があり、それぞれにどのようなモニターが適当なのか、大きさや機能などを検討するのに時間をかけました。すべての部屋にハイエンドな機器を入れればいいというわけでもなく、コストとのバランスや機能がオーバースペックにならないか、考慮しています。
林田: 社員にとって、会議室がどれだけ使いやすいかがカギになりました。ワンタッチ、ワンクリックで会議室内にあるすべてのマイク、カメラ、モニターなどがつながり、すぐに使えるという状況を実現したくて、ご尽力をいただいたのです。会議前のセッティングための5分、会議が終わってから片付けるための5分、こうした名前のない業務で社員に負担をかけているので、新本社では最初から簡単に使える機能を備え付けたいと考えました。
藤田: オンライン会議ができるデバイスだと100点以上を入れています。それぞれ規模も違うので、すべてにハイスペックなものを入れるわけにはいきません。トライアルオフィスでは、一部機器の操作が複雑で使いこなせないという意見もあったので、つなぐだけ、ワンクリックといった簡単に使いこなせるものにしてほしい、と相談しました。
伊藤: 可能な限り、簡単にしました!
二葉: 役員会議室に相当する部屋は3部屋があり、うち1部屋は今までにやったことのないような冒険的な会議ができるシステムを仕込みました。
林田: ボードルームCですね。座席は、映画館のようにすべて画面に向けて設置。モニターは136インチの大きさでタッチパネルになっており、画像に書き込みもできます。カメラが司会者をずっと追いかけるシステムも入っていて、リモートでもリアルでも会議に参加している方が双方向でコミュニケーションを取ることができて、ストレスを感じにくい設計になっています。
トライアルを生かし、新システムはさらに使いやすく
――社員の位置情報システムを導入されるそうですね。
林田: 新宿野村ビルは固定席で座席表を見れば誰がどこにいるかが一目瞭然でした。新本社では自席がかなり減少し、話したい相手がどこにいるかがわからない状況が生まれるので、位置情報システムを使おうと。トライアルオフィスで位置情報システムを試してみましたが、物として持ってもらうとその物をなくしてしまう、携帯にアプリを入れるとバッテリーの減りが早くなる、システム登録をそもそもしていない、など実にいろいろな課題が出ました。
その中で内田洋行さんのシステムは、社内Wi-Fiを検知して、携帯がWi-Fiにつながったら自動的に位置情報がわかるというものでした。これならストレスなく、位置情報を取得できます。会議予約システムも担っていただいたので、位置情報から会議予約ができるように連動させる、人の予定表を見られるなど、いろいろなシステムと連携することができたのもよかったです。
さらに位置情報では、フォローリストにあらかじめ登録しておくと、一緒に仕事をしている人がどこにいるかを確認することができます。同じく位置情報からフロアの混雑状況を把握し、執務エリア入口近くのサイネージに掲出します。社員からのフィードバックを反映させつつ、新しいシステムへとアップグレードしてくださっていますね。
野村不動産 グループオフィス戦略室 推進課 主任 2019年入社、法人営業本部に在籍、野村不動産ソリューションズへの出向も含め4年間不動産売買仲介業務に従事。2023年にグループオフィス戦略室に異動。トライアルオフィスの運営及び新本社AV・デジタル環境構築を担当。
伊藤: 個人的には、私がいちばん、このシステムに感謝しているんですよ。社内で携帯をなくした時に、パソコンで探すことができるんですから。
林田: 確かに、インシデントが減るというメリットもありますね。探し物をしている時間はもったいないですし。
今、カスタマイズ中なのが、自分がどんな仕事をしているか簡単な自己紹介が表示できる、ということ。実現したら、さらにコミュニケーションが生まれるきっかけになるかもしれません。
――今回の施策で、各社の強みが生かされたところを教えてください。
片山: 今回のデジタル領域における大きな特徴としては、ライバルの2社を融合させて最適な体制が組めたというところ。どちらかに偏ったお付き合いがあるとバイアスのかかった評価をしてしまうけど、大型エリアに強いのはイトーキさん、汎用的で小回りがきくのが内田洋行さん、という感じでフラットに評価ができて、そこに品質とコストをコントロールしていくのがクニエ、という体制を組むことができました。
藤田: 弊社からは、簡単にしたい、音質を上げたい、という要望を出しました。それらをどの企業さんにどう叶えてもらうか、橋渡しという重要な部分をクニエさんが担ってくれました。こうしたいと言うのは簡単ですけど、それを形にするのは難しいから大変だったでしょうね。
野村不動産 グループオフィス戦略室 推進課 課長 1995年入社。本社移転は、兼務しているDX戦略部から約3年にわたり担当。これまでICT関連業務に多く携わる
伊藤: 弊社はマルチベンダーですが、ソフトウェアの自社開発もしています。今回は、位置情報や会議予約システムという、内田洋行が持っているソリューションをうまく採用していただけて、それが強みとして生きました。
二葉: クニエさんが「御社にはここを期待しています」と明確に采配してくださったので、それに徹することができました。我々の受け持ったエリアはいろいろな目的でシステムが利用される空間でした。システムを設計するうえで、多機能にすることと誰でも使えるよう操作を簡単にすることは相反します。そのメリット、デメリットをイメージしていただくことにいちばん注意をしました。利用者にも管理者にとっても良いシステムが組めたと感じています。そして、このプロジェクトに関わっている各社の強みがそれぞれ組み合わさったことで、バランスのいいところに着地できたと感じています。
デジタルに対する社員のストレスをいかに減らすか
――野村不動産の社員の皆さんには、今回のデジタル設計でどのような体験をしてほしいとお考えですか。
片山: ストレスを感じないで使えるものを入れたという自負があります。「デジタル機器を使っているんだ」と意識することすらなく、当たり前に使えることを実感していただき、より仕事に集中してくださればうれしいです。
伊藤: オフィス移転と環境が大きく変わるタイミングで、システムを支えにして、新しいことにチャレンジしていただければと思います。
二葉: 意識しないで使えるようなインターフェースにしましたし、使うことによって「こんなコミュニケーションにも使えるんだ」といった新しい発想が出てくるようなシステムにもしたつもりです。多少の拡張性も持たせているので、どんなおもしろい使い道があるかいろいろとトライしていただき、フィードバックもぜひお願いします。
――今回のデジタル設計において、目指したことは何でしょうか。
林田: 新本社で叶えたい働き方に対して、設計、飲食など各チームが準備を進めています。デジタルも同様で、社員が自由に交わってシナジーを生むことで、よりイノベーティブな働き方につながるよう、意識して設計しました。
藤田: 「CROSS-BORDER」が新本社移転のコンセプト。人と人、部門と部門、社内と社外、そういった垣根を越えて繋がれるシステムを作ることを目指してきました。社員が困っていることをデジタルで解決できるよう、簡単に使える、意識せずに使えることを重視したので、社員の皆さんにはぜひ積極的に触ってもらって、どうだったかを共有してほしいです。まずは触れてみていただくことと、そのフィードバックからまたアイデアを得て、さらに進化させていきたいですね。